【春日大社】お旅所とは?御旅所の意味と役割・おん祭の御旅所神幸はいつ?

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春日大社の参道と一の鳥居から少し離れた場所に「春日若宮おん祭」において若宮の神様が神幸(渡御)される場所「お旅所」があります。実際におん祭の当日、神様がいらっしゃるのはこのお旅所になりますので、ある意味春日若宮おん祭の中心となる場所と言えるでしょう。

今回は、春日若宮おん祭に欠かせないこの「お旅所」について、その意味や役割、おん祭のお旅所神幸のスケジュールについてもご紹介します。

また実は、春日若宮おん祭においては通常の「お旅所」の他に、お旅所であると思われがちな場所があります。それは「大宿所(おおしゅくしょ)」です。こちらについても記事後半で、場所やスケジュールをご紹介します。

 春日若宮おん祭に関してはこちらの記事もどうぞ。

 春日若宮おん祭全体のスケジュール 「春日大社「春日若宮おん祭」の「日程・時間・スケジュール・混雑状況 (人出)や混雑回避・桟敷席の概要」など」

 神事開始7月1日~中心神事前日12月16日のスケジュール・神事内容 「【春日若宮おん祭】7月1日~中心神事前日12月16日「流鏑馬定・縄棟祭・大宿所詣・宵宮詣」などの見どころ・スケジュールと詳しい内容など」

 中心神事12月17日~12月18日のスケジュール・神事内容 「【春日若宮おん祭】12月17日~18日「お渡り式・大名行列・松の下式・御旅所祭」の見どころ・スケジュールと詳しい内容など」

お旅所の読み方

「お旅所」は「おたびしょ」と読みます。漢字で「御旅所」と表記される場合もあります。

お旅所の場所

画像提供元:春日大社HP

お旅所の場所は、上の地図に示されているとおり、春日大社一の鳥居のすぐ北西側にあたります。春日若宮おん祭の際には若宮様(神様)が1日、ここに留まられ、日付が変わらないうちに春日大社へとお帰りになられます。

お旅所とは?お旅所の意味と役割

「お旅所」というのは、春日大社の祭礼だけではなく、神社の祭礼において一般的に使われる用語です。

神社の祭礼では、一時的に神様が本来の居処である神社の建物を離れ、神輿に乗ってお渡り(移動すること)になり、一周回って神社に戻るわけですが、その途中で神輿をおろして神様が休憩したり、留まる場所があります。これがお旅所です。

春日若宮おん祭の場合は、若宮の神様が春日大社(若宮神社)を出発され、お旅所までを神幸なさいます。(※上の地図で示されている矢印の道は、神様の神幸ではなく、12月17日昼間に行われるお渡り式の道順です。)

お旅所は祭りにおいて、神様の仮の居所となるわけですが、同時にお旅所は、祭りを通して氏子たちが一堂に会し交流をする場という意味も持っています。

また神様が氏子の集まる中へ渡御を行い、再び神社に戻るという儀式は、神様の神威の再生を意味するものでもあり、お旅所での様々な祭礼(お旅所祭)は神様が再生されるための儀式です。

つまりお旅所には、神が再生するための清められた場所という意味もあるのです。


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え?お旅所は普段空き地なの?

春日若宮おん祭の「お旅所」と言うと、華やかなお祭りの舞台となる場所ですので、日常の奈良を見ていなければどれほど神秘的な場所かと思うかもしれません。

しかし実は! 春日若宮おん祭が終わった後、次の12月に入るまでのお旅所は、全くの空き地なのです!

とても神様がいらっしゃるような場所には見えません。

それもそのはず、お旅所では春日若宮おん祭の直前に神様の留まる社殿が建設され、終了直後に取り壊されてしまいます。

この場所が神様の居所となるのは、春日若宮おん祭当日未明から23時頃までのわずかな間だけなのです。

お旅所の設置・祭礼スケジュール

お旅所の設置は、10月から開始となります。

10月1日

11:00に「縄棟祭」(なわむねさい)が執り行われます。

縄棟祭とは、行宮の起工式にあたる神事です。

12月初頭~16日

行宮(あんぐう)の設営、準備が行われます。行宮の設置には、松の木材52本と、約79mの縄が用いられます。

この画像はおん祭開始直前のお旅所の様子。奥に見えるのが行宮です。造りは原始的な春日造りとなっています。

行宮の設置に関して詳しくは「【春日若宮おん祭】7月1日~中心神事前日12月16日「流鏑馬定・縄棟祭・大宿所詣・宵宮詣」などの見どころ・スケジュールと詳しい内容など」にも説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。

12月17日

春日若宮おん祭の「当日」は12月17日です。

前日の16日から様々な祭礼が行われますが、その場所はお旅所ではなく、ご本殿や大宿所などの周辺施設です。

お旅所が祭礼の舞台となるのはあくまでも17日。17日になると、神様が下のような予定で遷幸されます。


未明 遷幸の儀(せんこうのぎ):若宮様が春日大社から行宮へ渡御

1時(未明) 暁祭(あかつきさい)

14時半頃 お旅所祭開始

23時 お旅所祭が終わり、還幸の儀(かんこうのぎ):行宮から春日大社へとお戻り


17日の春日若宮おん祭のスケジュールについて、詳しくは「【春日若宮おん祭】12月17日~18日「お渡り式・大名行列・松の下式・御旅所祭」の見どころ・スケジュールと詳しい内容など」にてご紹介しています。

お旅所へ向かう「遷幸の儀」の見どころと注意点

若宮様が春日大社からお旅所へと向かわれる神幸の儀式は「遷幸の儀」と呼ばれます。

日付が12月17日に変わった後、午前1時にはお旅所で暁祭が行われますので、その間に神様をお遷しすることになります。

遷幸の儀は暗闇の中、たいまつの炎のみで行われる移動儀式です。神様がお通りになるルート上で、行列を拝見することはできますが、神様の乗せられた神輿は、古来の作法に則り、榊の枝で十重二十重にお守りされ中が決して見えないようになっています。

照明や写真撮影、おしゃべりも一切禁止ッ! ですのでご注意を。

神様を照らさないよう地面にのみ向けられたたいまつの明かり、「ヲー、ヲー」という先払い(邪気払い)の独特なかけ声、同じく邪気を祓うと言われる楽曲「慶雲楽(きょううんらく)」と、ここでしか見ることのできない古代祭祀の要素がめいっぱいに詰まった、魅力的な儀式です。


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お旅所で行われる最初の祭礼「暁祭」

お旅所祭の前に神様には、「暁祭」で神饌(神のお食事)が供えられることになっています。

遷幸の儀で行宮に到着された神様の前には、神がおられる目印として植松が立てられます。

そして、御巫(みかんこ=春日大社の巫女)による社伝神楽奉納が行われます。

やはり明々と明かりを付けるようなことのない、幻想的で美しい光景を見ることができるでしょう。

お旅所で行われる「お旅所祭」の見どころ

暁祭が終わるといよいよ、メインイベントとも言えるお旅所祭の始まりです。

お旅所祭は午後2時半頃に開始となりますが、そのため昼の12時頃に「お渡り式」が行われ、祭に従事する人たちがそれぞれの装束をまとってお旅所までを練り歩き、移動します。

ちなみに昼前までは、若宮様ご不在の春日大社若宮社にて、本殿祭などが執り行われています。

12:00 お渡り式

お旅所祭の前に、神様のところへ、おん祭において様々な役割を持つ人たちが参上します。この儀式を「お渡り式」と呼びます。

お渡り式で練り歩くのは、日使(ひのつかい)、神子(みこ)、馬長児(ばちょうのちご)、大和士(やまとざむらい)といった、おん祭の作法を司る人たち。

またさらに、この後のお旅所祭りで古典芸能を奉納する面々が歩くことになっています。

15:30~22:30 古典芸能の奉納

お旅所祭の中でも最大の見どころが、午後3時半頃から午後10時半頃まで続く、古典芸能の奉納です。この奉納は

  1. 神楽(かぐら)
  2. 東遊(あずまあそび)
  3. 田楽(でんがく)
  4. 細男(せいのお)
  5. 神楽式(かぐらしき)
  6. 舞楽(その1):
    振鉾三節(えんぶさんせつ)、萬歳楽(まんざいらく)、延喜楽(えんぎらく)、賀殿(かてん)、長保楽(ちょうぼうらく)
  7. 舞楽(その2):
    和舞(やまとまい)、蘭陵王(らんりょうおう)、納曽利(なそり)、散手(さんじゃ)、貴徳(きとく)、抜頭(ばとう)、落蹲(らくそん)

以上の順番で続くことになっています。

このうち舞楽の順番は、一部、13時頃に行われる競馬の儀式によって決められるものもあります。

お旅所から戻る「還幸の儀」

お旅所祭が終わった後、神様がお旅所から若宮社へと戻られるのが「還幸の儀」です。

お旅所へいらした時と同じく、明かりのない中で行列が春日大社へと進み、たいまつで道が清められ、沈香の香りで空気も清められていきます。

帰りの楽曲は「還城楽(けんじょうらく)」という曲です。

若宮社では太鼓を打ち鳴らして神様をお迎えします。

若宮様の戻られた若宮社で行われる、お迎えの神楽奉納が、春日若宮おん祭のファイナルです。


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お旅所とは別!「大宿所」の役割とスケジュール

画像提供元:春日大社HP

春日若宮おん祭では、お旅所とは別に大宿所(おおしゅくしょ)と呼ばれる祭会場が設置されます。

場所は上の地図にあるとおり、餅飯殿通りに位置しています。

ここでは17日のお旅所のお祭りとは別に、12月15日のうちに、「大宿所詣(おおしゅくしょもうで)」というお祭りが行われています。

大宿所詣では、17日の祭当日でも行列に参加する「大和士(やまとざむらい)」の面々が精進潔斎を行います。

祭参加者のお清めを行うのが、大宿所の大きな目的です。

懸物(かけもの)と呼ばれる、神様への供物となる鮭、鯛、雉といったものが掛け並べられた中で、巫女が煮立ったお湯でお清めをする「御湯立(みゆたて)」の儀式が行われるのです。

大宿所詣は17日の「お渡り式」と「お旅所祭」に比べれば混雑が少ないので、見やすい一方、おん祭の雰囲気の一端を味わうことのできる人気のイベントです。

大宿所も、実際におん祭が行われるまでは空き地です。

これが当日には、のっぺ汁やあめ湯が商店街の方によって振る舞われるなど、大混雑の様子を見せます。

春日若宮おん祭では、15日は大宿所、17日はお旅所を訪れて!

春日若宮おん祭に訪れた際、どこに向かえば良いか……と迷うようなら、12月17日はぜひお旅所を訪れてみましょう。

奉納されている芸能は春日大社の参道からも見られますので、スケジュールをチェックしながら何度も顔を出すのもおすすめですよ!

 春日若宮おん祭に関してはこちらの記事もどうぞ。

 春日若宮おん祭全体のスケジュール 「春日大社「春日若宮おん祭」の「日程・時間・スケジュール・混雑状況 (人出)や混雑回避・桟敷席の概要」など」

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 中心神事12月17日~12月18日のスケジュール・神事内容 「【春日若宮おん祭】12月17日~18日「お渡り式・大名行列・松の下式・御旅所祭」の見どころ・スケジュールと詳しい内容など」

 春日若宮おん祭の歴史と由来について 「【春日若宮おん祭とは】歴史と由来・春日若宮御祭礼絵巻物って何?」

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