春日大社・春日明神遙拝所:春日大社ご本殿遙拝所
読み方
かすがみょうじんようはいじょ
設置年
不明
※1173年(承安3年)~1232年(寛喜4年)より以前※推論について歴史・由来の項にて後述
様式
建物なし。居石(すえいし)9つの磐座(いわくら)に注連縄のみ
ご祭神
- 春日皇大神(カスガスメオオカミ)
ご例祭
神社ではなく遙拝所ですので、ご例祭なし
春日大社の公式では次のように記載されています。
御祭神
春日皇大神(かすがすめおおかみ)
御神徳
ひらめきの神様
春日明神遙拝所の歴史・由来
春日明神遙拝所は、明恵上人(みょうえしょうにん)ゆかりの地です。明恵上人は生1173年(承安3年)~没1232年(寛喜4年)、鎌倉時代を生きた、東大寺ゆかりの華厳宗の僧侶です。
江戸時代、1742年(寛保2年)の『春日大宮若宮御祭礼図』という資料には9つの岩が描かれ、「明恵上人明神を拝し給ふ所」と明記されています。
明恵上人の生没年の頃には、春日明神遙拝所が存在していたことが明らかにわかりますが、それ以前はどうであったのかはわかっていません。
明恵上人自体は大変徳の高い僧侶であり、彼が春日大社をここから遙拝したというだけでも価値のあることであると言えます。
また、春日大社のご本殿は現在でも特別参拝として有料の参拝が受け付けられていますが、これも日時によっては祭礼などのため封鎖されていることがあり、しかもその頻度は決して少なくありません。過去にはなおさら、春日大社のご本殿は誰でもかれでもがおいそれとお参りできる場所ではなかったことでしょう。
ご本殿に比較的近いところで、ご本殿にいらっしゃる春日大神さまをお参りできる場所として、春日明神遙拝所が設置されたとも考えられます。
9つの磐座の意味は……?
春日明神遙拝所に存在しているのは、写真のような9つの磐座(いわくら)と、その周囲に巡らされた、神域であることを示す注連縄のみです。最低でも鎌倉時代には存在していた、磐座の意味とは何なのでしょうか。
磐座信仰はそもそも、日本の古い神道において、自然崇拝の一般的な形の1つとして行われてきたことです。
岩そのものに力があると考えた昔の日本人は、その岩そのものをご神体として崇拝しました。
岩や、木、山など、ご神体のある場所に、後に社殿を建てるようになったものが、今のいわゆる「神社」です。
さて春日明神遙拝所についてですが、9つの居石(すえいし)が並んでいる意味は特に書き残されているわけではなく、解明はされていません。
しかし「9」という数字には意味があります。それは、「完全なる完成」そして「永遠、無限」という意味です。
本来数字の意味としては、完全を示す数字は八卦の「8」です。
しかし、9はさらに上を行く完成度を示すと言われています。8よりも上であり、しかも10の一歩手前です。
10は、1と0ですから、1桁の数字の意味を追う……という意味で言えば「9の次は0に戻る」、つまり無に還る一歩手前の、完成しきった状態が9です。春日明神遙拝所の9つの居石には、春日明神による完全なる守護を祈願する、という意味がある、のかもしれません。
ところで「遙拝所」とは?読み方は?
遥拝所とはあまり聞きなれない名前ですが、遥拝とは、「遥か遠くから拝する」という意味で遥拝(ようはい)と言います。
遥拝の遥とは、『遠くへだたっている。遠い。はるか。』などの意味合いがありまする。
遙拝所とは、「神社の社殿そのものと離れたところにあり、社殿やそこに祀られる神を離れたところから参拝するための場所」です。
いわば神社の派出所で、遙拝所に参拝すれば、神社やご神体に参拝したことと同じ意味があり、同じ御利益を得られる……と考えれば良いでしょう。
遥拝所には石が用いられることが多い!その理由とは?
遥拝所は石が置かれていることが散見されますが、これは古神道における磐座(いわくら)として、神が依り憑くようにしたものです。ゆえに遥拝石とも呼ばれます。
つまり、神霊が宿る石なので間違ってもこの前でタッション、つまりションベンをカマしてしまうようなことがあれば!あ・れ・ばっ!
‥
そのときはピぃ〜〜が1週間ほどスズメバチに刺された後&〜、ロールキャベツのように無残にも腫れあがっていることでしょう。オヒっ
‥‥‥あ〜、つまり!この場所はそれだけ神聖かつ、清められた場所だということが拙者は言いたいんです。
その証拠に注連縄が四辺にわたって張り巡らされており、結界が設けられていまする。
‥‥‥と、まぁ笑いをとるのはこの辺にしてと。
古来、自然崇拝が盛んであった日本においては、自然物をご神体とする、あるいは山中深い、参拝しづらい場所に神を祀るといったことがよくありました。
しかしこれでは、しょっちゅう参拝するのが難しいケースも出てきます。そこで、活躍するのが遙拝所です。
遙拝所を設置し、ここで参拝を行うことで、本殿やご神体に参拝したのと同等の御利益を期待するのです。
春日大社境内には他にも遥拝所がある!!
春日大社の境内には、今回ご紹介している「春日明神遙拝所」の他に、若宮十五社めぐりの中にも「伊勢神宮遙拝所」「元春日 枚岡神社(ひらおかじんじゃ)遥拝所」の2箇所があり、さらに他に、春日大社ご本殿の奥側に「浮雲峰遙拝所」も存在しています。
春日明神遥拝所に祀られている神様ってどんな神様?
この春日明神遥拝所に奉斎される「春日皇大神(かすがすめおおかみ)」とは、分かりやすく一言でいうと春日大社で奉斎される神のことです。
「皇大神」ならびに「明神」とは、現在の神の神格を司る「大神」を指し、大神とは神の敬称の1つであり、『日本の最高の神をいう称号』と解されます。
ちなみに「明神」という名前の由来は判然としていないようですが、奈良時代に編纂された住吉大社神代記によれば、住吉大社に奉斎される「底筒男命・中筒男命・表筒男命」の三柱を「住吉大明神」と記しており、文献上ではこれが初出になるとのことです。
春日明神もしくは春日皇大神とは、「春日神(かすがのかみ)」とも呼ばれ、他にも神仏混淆時代の名残りにおいては「春日権現」とも称されまする。
このような春日の神を奉斎する社(神社)は日本全国に約1000社あり、その頂点に君臨するのが、この奈良・春日大社です。
この春日明神遥拝所は、外観からしてさざれ石のようにピラミッド形に石が積まれ、尚且つ、その方向は春日大社・本殿の方角である北西を向けて造られています。
春日明神遙拝所の御利益
春日明神遙拝所にご参拝することによって得られる御利益は「ひらめき」です。
春日明神は「ひらめきの神様」と言われ、ご本殿にもいらっしゃる神様ですが、遙拝所を参拝した方にもそのひらめき力をお分けくださるでしょう。
もちろん、若宮十五社めぐりで春日明神遙拝所を訪れた場合も、ぜひ春日大社のご本殿まで訪れ、ご本殿特別参拝も体験されますよう、おすすめ致します。
遥拝所の参拝の仕方
石の前に立ち正面の石と正対します。
心、穏やかに鎮め、静かに日常の平穏無事の感謝の意を捧げるとともにこれより先のご加護もお願いします。
拝礼は二拝二拍手一拝の作法です。
なお、この遥拝所には伊勢の神が祀られていることから、個人的なお願い事はタブーです。
あくまでも御身のご加護や皇室の弥栄を願う場所です。うきゃ
春日明神遙拝所は若宮十五社めぐりの第9番納札社
春日明神遙拝所は、春日大社で行われる巡礼プログラムの1つ「若宮十五社めぐり」の、第9番納札社に指定されています。
正確にはお社ではないのですが、春日明神遙拝所まで訪れますと玉串札を捧げるための玉串台が設置されていますので、ここへ御札を捧げ、ご加護をお祈り致しましょう。
上の写真では、最左列、上から3番目が、春日明神遙拝所の御朱印です。読みづらいですが、篆書体(てんしょたい)という書体で、「居石之拝所」と記されています。
春日明神遙拝所の場所
春日明神遙拝所は、上の図で9番にあたります。若宮十五社めぐり第8番納札社「佐良気神社」を通り過ぎて左側です。
佐良気神社から春日明神遙拝所に向かうまでの間に、右側に金龍神社、元春日枚岡神社遙拝所と2つの参拝ポイントがありますが、後でもう一度戻ってきますので、右側の2社には参拝せずにそのまま春日明神遙拝所まで歩いていくのがおすすめです。
若宮社からは徒歩2分の距離ですが、若宮十五社めぐりで訪れるのであれば、この札所は9番目ですので、十五社めぐり開始から既に10~15分は経過しているのではないでしょうか。
春日明神遙拝所は社殿がなく、その分春日大社境内の、神域たる気をいっしんに浴びられるポイントでもあります。ぜひゆっくりとご参拝ください。
春日明神遙拝所へ参拝できる時間
- 参拝時間:24時間参拝可能
- 定休日:なし(年中無休)
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