春日大社・元春日枚岡神社遙拝所|若宮十五社巡り【第13番納札所】

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春日大社・元春日枚岡神社遙拝所

読み方

もとかすがひらおかじんじゃようはいじょ

創建年

社殿が存在しないため、なし

御祭神

  • 天児屋命(アメノコヤネノミコト)
  • 比売神(ヒメガミ)

元春日枚岡神社遙拝所の歴史・由来

元春日枚岡神社遙拝所は、春日大社境内に存在している、「元春日」と呼ばれる「枚岡神社(ひらおかじんじゃ)」という神社を遙拝するための、遙拝所です。

枚岡神社については、詳しく後述しますが、そもそも春日大社の神は枚岡神社から勧請(=お招き)されたと伝えられており、春日大社よりもさらに歴史があるとも言われる神社です。

この神社から、春日大社へと、二柱の御祭神を勧請したことに由来して、春日大社の境内に枚岡神社を遙拝するための遙拝所が作られたと考えられます。

春日大社への二神勧請が行われたのが、枚岡神社の社伝によれば768年(神護景雲2年)のことです。

従って、元春日枚岡神社遙拝所も、この頃から存在したと推定することができます。


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春日大社に「元」があった!?枚岡神社とはッ!

春日大社というと、非常に歴史が古く、元からそこにあって奈良の王侯貴族に御利益をもたらしていたかのように思われることもありますが、実は春日大社にも、さらに前時代のルーツが存在しています。

それこそが、「元春日 枚岡神社」です。

 枚岡神社 社殿(大阪)

春日大社の「元春日枚岡神社遙拝所」に建てられた看板には、

『はるかに かはちのくに ひらおかを はいするよし』

と書かれています。これは1742年(寛保2年)の書物『春日大宮若宮御祭礼図』の記述ですが、ここに見られるとおり、枚岡神社は河内国、すなわち現在の大阪東部に現存する神社で、河内国一之宮とされています。

大和朝廷の祭祀担当「中臣氏」の神社

日本の黎明期に国土を支配した「大和朝廷」では、当然様々な役割を持った人が朝廷の維持に貢献していましたが、中でも祭祀に携わっていた一族が「中臣氏」でした。

中臣といえば……誰ですか? そう、あの人!

中臣鎌足が、小学校の社会科では一番の有名人ですね。

中臣鎌足は天皇家から藤原の姓を賜り、藤原鎌足となったことで知られています。

つまり、枚岡神社は、藤原氏の神社ということになります。

鎌足の子孫は、藤原摂関家として後の時代に活躍した人達ばかりではなく、神祇官として代々、朝廷で重要な役割を果たしていました。

この、中臣氏の祖と言われる神が、枚岡神社の主祭神である「天児屋命」です。

768年に春日大社へと二神を勧請

枚岡神社には、中臣氏が祖神である天児屋命と、その妻である比売神をお祀りしていました。

これらは元々、神武天皇ご即位より以前から神津嶽(かみつだけ、現在の生駒山の一部)に祀られていましたが、650年(白雉元年)9月16日に現在の枚岡神社の地に奉遷され、社殿を建ててお祀りされたと伝えられます。

枚岡神社とは別に、平城京の創設に伴って、聖地であった春日御蓋山の地にも社殿のないまま神々が祀られていました。

そこで768年、現在の春日大社となる社殿を創建し、藤原氏が主導となって氏神である天児屋命と比売神を枚岡神社から勧請したと伝えられます。

よって、大阪の枚岡神社は現在に至るまで、「元春日」と呼ばれているというわけなのです。

元春日枚岡神社遙拝所の御祭神「天児屋命」「比売神」とは?

先ほどから何度も登場している、御祭神である「天児屋命」と「比売神」とは、どのような神様なのでしょうか。

天児屋命は、春日大社に祀られていることから春日大権現、春日大神などと呼ばれることもある神様です。

聞き慣れない神のように思われるかもしれませんが、実はあの有名な『天岩戸』の伝説にもしっかり登場している、由緒正しい神様です!

おさらい!天岩戸伝説

天岩戸伝説は、太陽の神である天照大神が、弟とケンカして、天岩戸を立てて閉じこもってしまった……という、日本最古の姉弟大ゲンカ伝説です。

様々な神様が創意工夫をこらして、天照大神を岩戸から引っ張りだそうとするわけですが、この時、天岩戸の前で祝詞を唱えたのが天児屋命です。

この祝詞を聞いた天照大神は、「私がいないのにみんな楽しそうに……何だっていうんじゃい」と不思議に思って、岩戸を少しだけ開けました。

隙間から漏れた光に、天児屋命が鏡を掲げると、鏡に光が反射して、天照大神を驚かせることに成功した。そこへ力持ちの神が岩戸を無理矢理にこじ開け、天照大神は外に出てきた……というお話です。

天児屋命がいなければ、天照大神は一生岩戸の中だったかもしれませんね!


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アメノコヤネ=美しい祝詞奏上の神

古来、神を動かすためには美しい言葉を美しく奏上することが必要であるとされてきました。それが形になったものが、祝詞です。祝詞も、きたないダミ声でカミカミに奏上したのでは、神様がお願いを聞いてくれません。

アメノコヤネとは、「天の言綾根」という意味であると考えられます。つまり綾のように美しい言葉で天に祝詞を奏上する役目を持った神のことを指しています。

天児屋命の美しい祝詞奏上に、弟とケンカしてイジけた天照大神が反応したのも無理のないことだったのでしょう!

比売神は天児屋命の妻である神様

比売神とは、特定の神の名前ではなく「主祭神の妻」といったような意味合いのある言葉です。

元春日枚岡神社遙拝所、および春日大社における「比売神」は、「天児屋命の妻神」のことを指しています。

天児屋命の妻神が何という名前の神様であるのかは、実は諸説あるのですが、一説によれば「天美豆玉照比売命(アメノミヅタマテルヒメノミコト)」という女神であるとされています。

天美豆玉照比売命は良妻賢母の神、女性の理想とされる、見た目も非常に美しいとされる神様ですので、お参りした女性にはきっと、良妻賢母、家事育児、賢く美しくなれる御利益がもたらされるでしょう。

元春日枚岡神社遙拝所は若宮十五社めぐりの第13番納札社

元春日枚岡神社遙拝所は、春日大社で行われる巡礼プログラムの1つ「若宮十五社めぐり」の、第13番納札社に指定されています。

上の写真では、一番左、一番下の印が、元春日枚岡神社遙拝所の御朱印です。

元春日枚岡神社遙拝所の場所

画像は春日大社HPより

上の13番が、元春日枚岡神社遙拝所の位置となります。金龍神社の鳥居の左側すぐにありますので、金龍神社を参拝する前に立ち寄りましょう。

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