春日大社・佐良気神社:若宮社 末社
読み方
さらけじんじゃ
別名
蛇穴社
創建年
鎌倉時代(詳細年不明)
建築様式(造り)
春日造
ご祭神
- 蛭子神(ヒルコノカミ)
ご例祭
1月10日(「10日えびす」の名称で知られる)
佐良気神社の歴史・由来
佐良気神社の創建については、詳しい年代はわかっていないものの、鎌倉時代にはその社殿が存在していたと伝えられています。
現在は蛭子神をお祀りしていますが、蛭子神をお祀りするようになったのは江戸時代からであるとする説もあります。
一方で、創建当時のご祭神については明確な情報に欠けるようです。少なくとも江戸時代以降は蛭子神を祀り、「春日のえびす様(春日のゑ(=え)べっさん)」として今もなお大変な信仰を集めています。
(後述しますが、蛭子神はえびす様と同一視される神様です)
社殿は小さいですが、写真をご覧になってのとおりいっぱしの鳥居が設けられ、その境内は他の若宮社末社に比べても広く取られており、春日大社の末社の中でも扱いの格が高いことをうかがわせます。
蛭子神の縁日である1月10日に、境内周辺で行われる例祭は通称「十日えびす」と呼ばれ、多くの信者が訪れる、見どころのあるイベントとなっています。
佐良気神社の名前の由来
佐良気神社の名前の由来は「サラケ」という祭器(土器)が由来になっているという説が残されています。
サラケという土器は、蛇がトグロを巻いたような形状をしていることから「サラケ」と呼称され、この土器を作っている場所が「佐良介(さらけ)」と呼ばれたことも土器の名前の理由の1つになっているようです。
実際、平安時代に編纂された有名な古文書である「延喜式」にも、祭器の名前として「瓼(サラケ)/酒を醸造するのに用いる浅底の平べったい土器」や、「瓮(ホトキ)/お神酒を醸造するための甕(かめ)もしくはツボのこと」の字が見えます。
かつて当神社の場所が佐良介であり、春日神社(春日大社)で使用するための土器を作っていたのかは不明ですが、ひょっとするとこの場所で土器を作っていたということも考えられます。
別名で「蛇穴社」とも呼ばれていた?!
一説では、「蛇穴社」と呼ばれていた時代があったとも云われています。
この理由は、当神社の御祭神である「蛭兒(蛭子)」をいう字を草書体で書いた時、「蛇穴」と類似していることから、誤読が転じて「蛇穴社」と呼ばれるようになったとのことです。
以来、一時的に「蛇穴社」という名前が定着した時期があったと云われます。
佐良気神社の例祭「十日えびす」とは?日程・時間・由来
- 日程:毎年1月10日
- 時間;10:00~15:00
- 場所:春日大社境内 佐良気神社
- 内容:ご神事、福笹および各種縁起物の授与、甘酒の無料お振る舞い等
佐良気神社の例祭は「十日えびす」と通称される、1月10日に行われるお祭です。そもそも関西地方を中心に、「10日」を蛭子神(=えびす様)の縁日とし、商売繁盛を願ってお祭りを行う神社は数多くあります。中でも1月10日については、新年が明けて初めてのご縁日であるため「初えびす」と呼ばれ、春日大社でも2004年くらいから、1月10日に佐良気神社のご例祭「十日えびす」が行われています。なお十日えびすを漢字で書くと「十日戎」とするのが一般的です。
十日えびすのアイドル「福娘」とは!
十日えびすでは「福娘」という女性の巫女が活躍します。通常時の巫女とは違い、巫女装束に金の烏帽子を被った姿が特徴的です。この巫女装束は「ちはや」と名が付けられています。
福娘は全国の十日えびすに登場するアイドル的存在。地域によっては「ミス福娘」なるコンテストが行われるところもあり、男女交際禁止、自転車の二人乗り禁止等、厳しい制約があることも。この時期だけのお役目ですから、お正月の巫女アルバイト同様、年ごとに募集されることが多く、全国的には地元の大学生が務める場合などがあります。
春日大社においては縁故のある地元企業の女性社員が選ばれることが多いようです。例えば2018年は、2017年末の春日若宮おん祭で大阪ガスの会長が「日使(ひのつかい)」役をつとめ、大阪ガスの女性社員が十日えびすの福娘をつとめました。2019年の福娘はサントリーグループから、9名の女性社員が選ばれています。ちなみに2018年末の、春日若宮おん祭の日使は関西電力の会長でした。おん祭「日使」も縁故の地元企業の大物が務めますが、福娘選出との絶対的な関連性はありません。
福娘の仕事としては、「福笹※後に詳しく解説」に縁起物を付けたり、福笹、御札、お守りを販売したり、あるいは参拝者のカメラに笑顔の写真を残してあげたりすることが挙げられます。
また福笹を授けられた人は福娘から、頭上で鈴を振ってもらうことができます。これは鈴振りと言い、鈴の音で厄払いをし福を招き寄せる効果があります!
十日えびすの福アイテム「福笹(吉兆笹)」とは!
十日えびすでは「福笹」と言われる笹の枝に、お守りや縁起物を付けて、招福や商売繁盛を願います。七夕のようなイメージです。福笹には孟宗竹の葉が使われ、縁起物が付けられます。
なぜ、笹かと言うと、笹竹はまっすぐに天に向かって伸びることから縁起が良く、さらに小判の形をした葉は落ちないし節目も正しいということで、まっすぐに上を目指す象徴、商売繁盛のお守りになったと言われています。また、ご祭神である蛭子神の持っている釣り竿につながることも、笹竹が縁起物として用いられる由来となっています。
補足:蛭子神の縁日はどうして10日なの?
蛭子神の縁日は、細かくは10月10日です。10月10日は、神無月の十日ということで、普通の神様はすべて出雲へ出払ってしまっています。この間、出雲へ行かずに残り、市民を守ってくれる神様が蛭子神であると言われることから、蛭子神のご縁日は「10日」とされています。
佐良気神社の御利益
佐良気神社では、ご祭神が蛭子神であることから、その御利益は「商売繁盛、招福」であると言われています。
蛭子神(ヒルコノカミ)と言うと、耳慣れない方もいるかもしれませんが、既に述べたとおり蛭子神は、七福神でよく知られる「エビス様」と同じ神様です。さらに遡ると、蛭子は伊弉諾尊(イザナギノミコト)、伊弉冉尊(イザナミノミコト)の第一子であり、生まれたときに身体が不完全で一度は海に流されました。その後、海でたくましく成長したのか、釣り竿を持った商売繁盛の神として神々の世界へ舞い戻り、蛭子神、エビス神として信仰されるようになりました。
佐良気神社は若宮十五社めぐりの第8番納札社
佐良気神社は、春日大社で行われる巡礼プログラムの1つ「若宮十五社めぐり」の、第8番納札社に指定されています。
上の写真では、中央列、下から2番目が、佐良気神社の御朱印です。
佐良気神社の場所
画像は春日大社HPより
佐良気神社は、三十八所神社のお隣に位置しています。
若宮社からは徒歩2分の距離ですが、若宮十五社めぐりをする場合は、隣の三十八所神社の次にご参拝という形になります。三十八所神社からは徒歩で1分もかかりません。
商売繁盛、また開運招福を祈りぜひご参拝ください。
佐良気神社へ参拝できる時間
- 参拝時間:24時間参拝可能
- 定休日:なし(年中無休)
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