【春日大社】本殿・階段の「雁字板(がんじいた)」にある模様は何?

スポンサードリンク

【春日大社】本殿・階段の「雁字板(がんじいた)」にある模様は何?

春日大社のご本殿を見ると、階段部分に不思議な模様があることに気がつくかも知れません。

この階段の板、そして板の模様にはどのような意味があるのでしょうか? 今回は、春日大社のご本殿、階段に注目して、板の模様の意味などをご紹介します。

【写真】春日大社の階段に描かれた模様ってどんなもの?

⬆️春日大社・水谷神社

 手向山八幡宮の本殿階段の写真

春日大社ご本殿は撮影禁止ですので、今回は手向山八幡宮のご本殿に現存する階段の模様から見ていきましょう。

手向山八幡宮は、奈良県奈良市雑司町、東大寺南側の神社です。紅葉の名所として有名で、かつては東大寺の鎮守社として扱われていました。春日大社からも近い位置にあります。

春日大社では式年造替が行われてきましたが、式年造替では社殿のほとんどを新しく造り替えてしまうため、古い社殿の資材などは奈良市内やならまち近辺の神社に下賜されてきた歴史があります。したがって、ならまち近辺の神社には自然と、建物の造りも「春日造」になっている神社が多いのです。

手向山八幡宮のご本殿も、春日大社の社殿を下賜された経緯があるため、春日造の社殿をしています。さらに、階段部分の模様も、過去に春日大社にあったものがそのまま残されています。

階段の側面板の名前は「雁字板(がんじいた)」

上の、手向山八幡宮の写真で確認した、模様のつけられた階段の側面板。この側面板のことを、「雁字板(がんじいた)」と呼びます。

現代建築では「側板(がわいた・そくばん)」

現代建築においては、階段の側面に立ててある板を「側板(がわいた・そくばん)」と呼びますので、模様がついた神社の階段板についても、「神社本殿の階段の側板」と表現する方もいるかもしれません。

神社建築においてこの板は「雁字板(がんじいた)」と呼ばれることをぜひ覚えておいてください!

雁字板の「雁字」とは?

雁字板」の雁字」とは、「雁字搦め(がんじがらめ)」の「がんじ」に同じです。

雁字とは、鳥の雁(がん)が、長距離飛行を効率良く行うために群れになり、一直線の形を作って飛ぶ様子を表した言葉です。よって雁字板とは、一直線の板という意味合いと考えて良いでしょう。

雁字板に描かれた模様は「剣巴文」

雁字板に描かれた模様は「剣巴文(けんともえもん)」と呼ばれています。読み方は「けんともえ」もしくは「けんどもえ」、「文」の文字も「紋」と書かれることがあります。いずれも同じ模様を指します。


スポンサードリンク -Sponsored Link-






剣巴文=「剣」+「巴文」

剣巴文は、「剣巴文」という1つの決められた模様を示す言葉ではありません。「剣」の模様と「巴文」の模様が双方描かれているものについて、「剣巴文」と呼ばれています。

この剣の部分は、剣の先端の部分だけですから、「剣頭巴文」と呼ばれることもあります。

巴文とは?

巴文は、勾玉のような模様を2つもしくは3つ組み合わせて作られる文様です。

 琉球・青貝巴紋散合口拵

日本に現存する巴文のうち、最古のものが、高野山金剛峰寺所蔵の国宝「聖衆来迎図」です。この図には中太鼓が描かれていますが、その太鼓の中央に巴文が、巴文の周囲に剣紋があります。

 聖衆来迎図に関しては、 高野山・霊宝館【登録無形文化財】でも触れていますので、あわせてご覧下さい!

さらに、巴文は後世、八幡宮で神紋として使われたことで、武士の家紋として非常に人気が出ました。

「巴」というのは当て字で、元々日本では「鞆」という字が用いられていました。のちに中国と漢字を共有するようになり、中国語に「鞆」という文字がないことから、「巴」の文字が用いられるようになったものです。

日本の巴文は、水が渦巻く様子を図案化したものです。

剣紋とは?

剣紋とは、剣の形を図案化したものです。さきにご紹介した、手向山八幡宮の階段の雁字板でも、巴文と巴文の間に、下向きに4本の剣の形が並んでいるのを確認することができます。

剣紋が意味するものは「尚武」であるとされていますが、古代における剣は、必ずしも獣や、人間などの、いわば物質的な敵と戦うだけのものではありませんでした。

]現在でも三種の神器の1つに「草薙の剣(天叢雲剣)※くさなぎのつるぎ・あめのむらくものつるぎがあるように、剣は悪い気を断ち切り、魔を退治し、国や大地を守るための、儀式的な意味合いを持つ道具です。

このため剣紋は、武家の家紋だけではなく、神社の神紋としても用いられることがあります。

春日大社の雁字板に剣巴文が描かれた理由

春日大社の雁字板に、剣巴文が描かれた理由については、明確ではないにしろ推測することができます。

春日大社には、春日大神として、武甕槌神(タケミカズヅチノカミ)が祀られています。武甕槌神は、刀剣の神様とも言われるほど、剣に縁故の深い神様です。

神話においては、天照大神に命じられて高天原(たかまがはら。天の世界)から出雲へ出向き、大国主命に国譲りを迫ったのが、武甕槌神です。このとき武甕槌神は、出雲の伊耶佐小浜(いざさのおはま)の波に剣を逆さまに突き立て、剣の先端にあぐらをかき、大国主命に国を譲るよう迫ったと言われています。

この、春日大社の武甕槌神ですが、鹿島神宮から春日大社へと勧請された神様です。そして鹿島神宮の神紋が「三つ巴」。したがって、春日大社では、神紋は藤原氏を示す「下り藤」でありながら、ご本殿階段には「三つ巴」を刻むと推測できます。

もっとも、下り藤を家紋としている藤原氏ですが、武甕槌神は藤原氏の氏神ですから、春日大社において三つ巴を祀ることには何の違和感もなかったはずです。

雁字板は何で塗られている?

ところでこの、黒地に白で文様の描かれた雁字板ですが、黒の地部分は黒漆。

白の文様は、胡粉(ごふん)という顔料を使って描かれています。

胡粉とは、貝殻を原材料とする、いわば絵の具で、中国西方(「胡」と呼ばれる地域)から伝えられました。日本の記録では、734年(天平6年)の『正倉院塵芥文書』に「胡粉」の文字を見ることができます。

貝殻は多くの場合ハマグリを用いますが、より白いもののほうが珍重されます。これを天日に干して風化させ、粉砕した後にさらに乾燥し……と非常な手間をかけて作られる顔料です。

スポンサードリンク -Sponsored Link-

    

当サイトの内容には一部、専門性のある掲載があり、これらは信頼できる情報源を複数参照し確かな情報を掲載しているつもりです。万が一、内容に誤りがございましたらお問い合わせにて承っております。また、閲覧者様に予告なく内容を変更することがありますのでご了承下さい。

関連コンテンツ