若草山焼きを見る場所おすすめ!奈良県庁屋上が穴場?特別観覧席は?日程・見どころなど
若草山焼きは、若草山の全体が燃え上がる、奈良の風物詩の1つ。神聖な炎に血湧き肉躍ってしまうこのイベントを、最高のロケーションで見たいと思うなら、ぜひ穴場の観覧スポットや、若草山焼きの特別観覧席についてチェックしてみてください。
今回は、若草山焼きの観覧おすすめスポット、見どころ、日程や時間についてもご紹介します。
若草山焼きとは?何するイベント?
若草山焼きは、冬の奈良を代表する、地域の一大イベントです。上の写真をご覧いただいたとおり、若草山全体を火で焼いてしまう山焼きで、規模も大きく、山焼きの時間前から春日大社と周辺のエリアで、山焼きの火を得る祭典や行列が行われます(詳しくは後述します)。
また、若草山焼きの開始を告げるために真冬なのに花火が打ち上げられるなど、派手さと見応えのあるイベントとなっています。
⬆️若草山山焼き当日の昼間の若草山の様子。奥に見える運動会テントは地元消防団や警察・関係者のテント
若草山焼きは何のためにしている?若草山起源はいつ?
若草山焼きがいつから行われているのか、実は判っていません。
しかしその起源は若草山三重目の頂上にある、「鶯塚古墳(うぐいすづかこふん)」と深く関連していることが、わかっています。
鶯塚古墳は、全長103メートル、前方幅50メートル、後円は直径61メートルもある、巨大な前方後円墳です。このような古墳が若草山の中にあるということは、あまり知られていないかもしれません。清少納言『枕草子』にも、鶯塚古墳は
「みささぎはうぐひすのみささぎ、かしはぎのみささぎ、あめのみささぎ」
として登場しており、その歴史はかなり古いことがわかります。鶯塚古墳からは滑石製品(ケイ酸塩鉱物で作られたモノ)が出土しており、推定される時代は5世紀初頭。鶯塚古墳に誰が眠っているのかは判別されていません。
いつからか、鶯塚古墳の周辺に幽霊が出て、春先までに山焼きをすれば鎮まるが、これをしなければ祟る……というような流言飛語が囁かれるようになり、誰かしらが春先に山に火を付けるようになったそうです。誰かもわからない者が勝手に火を付けてしまうので、若草山が燃え、東大寺に火の手が迫ることも何度もあり、1738年(元文3年)12月に、奈良奉行所から「若草山の放火禁止令」が出されたが、その後も放火が続いた……と記録があります。
このため、江戸時代末期の頃には、奈良奉行所、興福寺、東大寺などがとりまとめて、立ち会いのもと若草山焼きが行われるようになりました。
若草山焼きの日程や時間などは、これまでに何度も変更されています。現在のように「1月第4土曜日」と決まるようになったのは2009年(平成21年)からのことです。
山焼き=浄化の炎で災いを防ぐもの
若草山焼きは上記のように、古墳の霊魂を鎮める魂鎮め(たましずめ)の意味合いをもって、いつからか行われています。
同様に、山焼きには農業的な意味合いがあるケースもありますが、鎮魂の意味合いがあるケースも多いものです。
京都の五山送り火、通称「大文字焼き」などは有名です。
山焼きが神聖なものである証の1つとして、現在では若草山焼きの炎は春日大社で採取されています。
若草山焼きの見どころと行事一覧
若草山焼きで行われる行事を一覧でご紹介します。この中に注目の見どころが含まれていますのであわせてご確認ください。
16:45 | ![]() |
17:05 | 聖火行列出発 |
17:15 | 松明点火 |
17:40 | ![]() |
18:15 | ![]() |
18:30 | 山焼き一斉点火 |
若草山焼き行事の地図
若草山焼きに関わる神事は上の地図内のエリアで行われます。地図左上の方角が若草山、花火の上がる方角です。
御神火奉戴祭
まずは春日大社にて行われる、御神火奉戴祭(ごしんかほうたいさい)が最初の行事です。これは当日の13:00から、飛火野において行われている「春日の大とんど」といういわゆるどんど焼きのイベントの火を採火するものです。
この時、火はとても小さなものです。箱の中に守られて灯され、聖火行列を作りながら、参道を通って水谷神社の横手にある能舞台まで進みます。ここで17:15ころ、松明点火の催しが行われます。ここでようやく、たくさんのたいまつに燃え移り、何人もの神官がこれを持って若草山へと向かうのです。
野上神社祭典
続く野上神社祭典では、下の写真に見られるようにまるでキャンプファイヤーのように大きくなった炎を前に祈りが捧げられます。
大花火打ち上げ
18:15からの大花火打ち上げが、若草山焼きの開始の合図となります。花火は、若草山の各所から打ち上げられています。ここで打ち上げられる花火の中に、奈良県唯一と言われる「尺玉」があります。尺玉とは1尺の大きさのある花火のことで、花火の号数で言えば10号。打ち上げ花火の花が開けば、直径は320メートルにもなる見応えのあるものです。
なお花火の数は、2010年には平城遷都1300年を記念して600発打ち上げられていますが、その年によって何発打ち上げとなるかは、企業協賛の状況等によって変化します。
山焼きの一斉点火が行われるのは、花火の開始から15分後の18:30。点火を担うのは、奈良市消防団のおよそ300名です。
点火の範囲は周囲3800メートル、広さにして約33ヘクタール(東京ドームおよそ7つ分)とかなり広い範囲を燃やしてしまいます。もちろん、消防団の皆様のご尽力により、寺社、文化財等への延焼がないよう配慮が行われています!
花火のルーツも「鎮魂」にあり
日本の有名な花火大会のうち、お楽しみで開催されているものももちろんありますが、山焼きと同じく「火」を「派手に」燃やす花火大会には、「鎮魂」の意味合いが込められたものも複数存在しています。代表的なものが東京の、隅田川花火大会です。
隅田川花火大会は、もともと、飢饉や疫病による死者の魂を浄化するために行われた両国川開きにで上げられた花火がルーツとなっており、それが現在に至るまで続いています。
これと同じく、炎を燃やすことによって鎮魂、浄化を目指す若草山焼きでも、鎮魂の花火が上げられます。
ところで、花火職人の祖とも言える「鍵屋弥兵衛」という人物、いわゆる「鍵屋」は、奈良出身の花火師で、先述の両国川開きにおいて最初に上げられた20発の仕掛け花火を作成した人物であると伝えられています。
3社寺ゆかりの温食ブース
奈良を代表する3社寺である
- 春日大社
- 興福寺
- 東大寺
には、古来、踏襲されてきた伝統的な食べ物があります。
これらの食べ物が、この伝統行事「若草山山焼き」の開催を祝い温食ブースにて提供されています。
- 興福寺:粕汁(かすじる)
- 春日大社:はくたくうどん
- 東大寺:のっぺ(雑煮のような汁物)
※お値段:各500円
これら3社寺の伝統料理を食べられる機会はそうはありません。翌日に黒々とした図太いクソがケツ穴から飛び出てくるほど、ぜひ!もぅシコタマタマタマだまりんこっ!・・するほどご賞味ください。意味不明
なお温食ブースの場所は、水谷神社鳥居前をまっすぐ北上してすぐ右手、大かがり火のド真ん前。特設ステージ横です。
それぞれの食べ物の由来は?
興福寺から提供される「粕汁」は、興福寺で2月の節分に、僧侶が食しているものです。こちらは奈良市内のホテルなどでも過去に、冬場を中心に提供されたことがあるようです(2012年、ホテル日航奈良など)。奈良市内でも食べられるチャンスがあるかもしれません。
春日大社の「はくたくうどん」は、漢字で書くと「餺飥饂飩」となり、だいぶ難しい印象になってしまいます! しかしこれが日本のうどんのルーツと言われる食べ物です。材料は小麦粉、米粉、山芋の粉で、太い平麺が特徴的です。文献には、春日大社の神饌(神様にさしあげるお食事)として古くからはくたくうどんが使われていたことが残されています。
東大寺の「のっぺ」は「奈良のっぺ」と言われることもあります。いわゆる煮物、精進料理で、そもそもは春日若宮おん祭の仕出しとして提供されてきた経緯のある郷土料理です。現在でも、春日若宮おん祭の日を中心に、奈良ではのっぺが食される習慣があります。
その他の若草山山焼きイベント
若草山山焼きは単に山を焼くだけでは、せっかくお越しいただいた大勢の観光客および見物客が退屈しますので、そんなことから山焼きとは別に特別に「山麓イベント」というものを実施されています。
鹿せんべい飛ばし大会
- 開始・終了時間:12時30分〜15頃まで(受付時間:12時〜14時30分まで)
- 参加料金:300円
- 開催場所:北ゲート周辺
- 主催:なら若草山観光協会
鹿せんべいを1枚ずつ飛ばし、その飛行距離を競い合う競技ゲームです。飛ばし位置から20メートル地点に線引き(ライン)してありますので、20メートル以上飛ばせば素敵な商品が漏れなく進呈されます!ウフ
消防団出発式典
若草山山焼きは山を燃やしますので、万が一の類焼などの緊急事態に備えて地元奈良の消防局の方も奉仕活動の一環で参加されています。その消防局の方々約300名が一堂に集い、出発式を執り行います。
- 開始・終了時間:17時〜17時20分
- 参加消防団員人数:約300人
音楽奉納
古都・奈良をイメージした和太鼓や和楽器の達人が集い、リサイタルを繰り広げます。春を告げる和太鼓と和楽器の協演をお楽しみください。
- 開始・終了時間:1回目15時45分〜16時30分/2回目18時30分〜19時
その他、司会進行「インフォメーションセンター」
山焼き行事の案内や松明展示を日本語・英語・中国語で翻訳して案内ならびに解説していただけます。
- 開始・終了時間:13時〜19時まで
なお、これらのイベントは若草山山焼きの行事を本線として、その隙間時間にうまく進行されるように設定されています。よって12時30分頃から19時頃まで何かしらのイベントが実施されていますので、飽きることなく楽しめるようになっています。
若草山焼き、下から見るか、横から見るか?おすすめ観覧スポットはココ!
若草山焼きには、何カ所かおすすめできる観覧スポットがあります。いずれも景観が良い場所なので、お好みの景色を探してみてください。
若草山山麓/迫力満点!
今にも「山火事になってしまうのでは・・ブルブルブル」などと言う業火とも呼べる炎をとにかくひしひしと体感できるのが、若草山の山麓です。若草山の枯れ草がパチパチ!パチパチ!・・と、燃える音が耳に響き渡ります。
山中は当日、交通規制がかかり入ることはできませんが(麓の途中までは入れます。それより上はロープが張られている&見張りの係員がいて一切、入れなくなっています。)、山麓では炎が迫ってくるようなスリルを感じられるでしょう。
ただし、ここはもっとも混雑する場所ということもお忘れなく!混雑すれば人混みに紛れてしまうことになりますので、余程、前のポジションを確保しておかないかぎりは逆に見えづらくなることもあります。
平城宮跡/時代を遡ったかのようなロマンチックな光景!
平城宮跡には、復元された朱雀門が建っており、これが若草山焼きの山の明かり、花火の光とあいまってとてつもなく幻想的な雰囲気を醸します。彼女を連れていくなら一番おすすめしたいスポットです。
ただ朱雀門の近辺は人が集中しますので、人混みを避けたい場合は、門から離れると少し良いでしょう。
奈良県庁屋上/抽選制でゆったり見られる可能性あり
若草山焼きの当日に、奈良県庁では県庁舎屋上を開放しています。事前に往復はがきでの応募が必要で、応募多数の場合は抽選で数が制限されますので、混雑を回避してゆったりと観覧できる可能性があります。
若草山焼きは「1月の第4土曜日」ですが、往復はがきでの応募は前年の12月頭に締め切り日があります。また、応募のアナウンスは例年、10月後半に行われています。ぜひ事前に検討しましょう。
奈良県庁屋上の開放に関する問い合わせ先
- TEL:0742-27-8406 ※奈良県庁総務部
やはり定番のこの場所か!「大仏殿前交差点周辺」
何も考えず、ただ、若草山の山焼きをとにかく見れたらイイや!・・などとお考えのあなたにはズバリ!「大仏殿前交差点」周辺がオススメです。
ただし!大仏殿交差点の周辺はお店や屋台が並んでいたり、はたまたバス停が近いことや、観光バス駐車場などがあったりして人混みは避けられません。しかし、基本的に若草山の山頂付近で山焼きが行われますので、視点的には下から見上げる格好となりますので、人混みに紛れていてもいかほどかマシです。
穴場はズバリここ!花火を観るなら「猿沢池」!
穴場はズバリ!興福寺五重塔の下の「猿沢池(さるさわいけ)」です!
基本的になるべく近くで見ようとする方が多いので、その真逆方向となる奈良駅(JR/近鉄)に近づけば近くほど人混みは減ります。その点を踏まえると猿沢池あたりは東大寺大仏殿前周辺と比較すれば断然!空いています。
ただし、猿沢池で見えるのは「花火のみ」です。山焼きは少し坂を登る形で移動して五重塔あたりまで行かない見えませんのでご注意ください。
なお、猿沢池と一言でザックリと言いましたが、猿沢池の中でも特に穴場となる場所が、「JR奈良駅方向の池の畔り」です。このあたりは人が少なく、障害物もなく見やすいポイントです。
花火と山焼きの美しい炎に照らされた五重塔の写真を撮るのであれば、この場所は外せないポイントとなります。
特別観覧席を確保して若草山焼きを最大級に楽しむ!
若草山焼きでは、山麓に特別観覧席が用意されています。しかしながら、申し込み方法がわからずに「アノ席はどうやったら座れるの……?」と混乱してしまう方もいるかもしれません。
実は、若草山焼きの特別観覧席は単体では販売されておらず、「奈良うまし冬めぐり」という旅行商品の1つとして、各旅行会社で取り扱われています。「奈良うまし冬めぐり」を主催しているのはうまし奈良めぐり実行委員会という団体ですが、申し込み自体は
- 奈良体験.com
- じゃらん
- ぐるたび
- 旅の発見
- ベルトラ
- JTB
- 近畿日本ツーリスト
- 日本旅行
- 東武トップツアーズ
- JR東海ツアーズ
といった旅行会社での扱いとなります。お申し込み希望の方は各旅行会社へお問い合わせされると早いでしょう。若草山焼きの特別観覧席ツアーは団体商品ですので、旅行会社を介さない個人での申し込みは受け付けられていません。
当日の若草山交通規制について
県庁東交差点からの歩行者天国!
山焼きのメインイベントとも言うべき、「花火」とそのあとに点火される「山焼き」が開始される17時30分から19時30分頃までの間、県庁東交差点が歩行者天国になります。緊急車両以外は一切通行できなくなります。
新若草山ドライブウェイの交通規制
若草山の中は、若草山焼きの当日は交通規制が敷かれて入れなくなります。
- 交通規制エリア:新若草山ドライブウェイ
- 時間帯 14:00~20:00頃まで
これから燃えるエリアですから危険♥念のため当日の行動予定にご注意ください。
なお、高円山コースでの交通規制はありません。
若草山焼きに伴うバス(奈良交通バス)の交通規制について
若草山焼きの当日は、激しい混雑が予想されるためバス(奈良交通バス)の路線変更があります。
※2019年の交通規制ルートをご紹介しています。
- 若草山の最寄りバス停:「手向山八幡宮前(北ゲート側)」「若草山麓(南ゲート側)」
赤バス
赤バスは本来であれば若草山の最寄りバス停となる「手向山八幡宮前」「若草山麓」まで運行していますが、若草山山焼きの日は上記のバス停まで運行していません。
最大で近いバス停が「奈良春日の国際フォーラム甍前」で、準・近いバス停が「東大寺大仏殿前」までになります。
なお、赤バスは運行時間が16時までですので、ご注意ください。
- 奈良交通赤バスホームページURL:赤バス乗り場・時刻表など
奈良交通バス
実施日
2019年(平成31年)1月26日(※点火不能の場合は1月27日(日曜日)に延期)
若草山山焼きによる混雑が影響して遅延が予想される時間帯
15時頃〜20時頃までの間(一般規制による周辺道路混雑のため)
奈良交通バス運行路線変更
始発~奈良公園前(県庁前)15:45発の便において、以下の停留所を経由せず運行となります。
- 手向山八幡宮
- 二月堂前
- 若草山麓
運休
奈良公園前(県庁前)16:00 発以降の便はすべて運休。
18時頃〜19時30分頃の間は「県庁前バス停」まで運行していますが、県庁前バス停から東大寺側の路線はすべて運休になります。
すなわち「東大寺大仏殿・春日大社前バス停」はもとより、その奥の若草山方面のバス停には行きません。(下図↓参照)
運休ゾーン
「県庁東バス停」から→東側(東大寺・春日大社方面)となる「春日大社表参道バス停」までの間は全面運休。
若草山焼きの日程・時間・中止等
若草山焼きは以下のとおり行われます。
- 日程:1月の第4土曜日(2021年(令和3年)は1月23日(土曜日)18:30〜より開始!)
- 時間 行事は16:45~、一斉点火は18:30~。詳しくは、上の「若草山焼きの見どころと行事一覧」をご参照ください。
若草山焼きは雨天中止?
雨天の場合、若草山焼きと花火は翌日の日曜日に延期となります。ただし、若草山焼きに伴って開催される予定の特設ステージイベントなどは中止されます。
若草山焼きに関する問い合わせ先
- TEL:0742-27-8677 ※奈良県奈良公園室
若草山山焼きのもっとも混雑する場所
若草山山焼きでもっとも混雑する場所は、やはり若草山ゲート周辺付近です。若草山ゲートとは若草山の真下のあたりです。ただし、若草山だけでは通例であれば山の麓は真下という地点ならでは音響効果、つまり迫力感は楽しめますが、前の方のポジションを確保しなければ、逆に人混みが多いので、前の人のド頭などが邪魔になって見えづらいこともあります。