【国宝】元興寺「五重小塔」

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【国宝】元興寺「五重小塔」

※館内は撮影禁止です。写真はお借りしたものです

創建年

  • 不明(奈良時代)
高さ

  • 5.5m
建築様式(構造)

  • 三間五重塔婆
  • 木造
屋根の造り

  • 本瓦形板葺
発願者

  • 不明
重要文化財指定年月日

  • 1901年(明治34年)8月2日
国宝指定年月日

  • 1952年(昭和27年)3月29日
  • 正式名称は「元興寺極楽坊五重小塔」

元興寺「五重小塔」の読み方

「元興寺「五重小塔」」は、「がんごうじ ごじゅうしょうとう」と読みます。

国宝としての正式名称は「元興寺極楽坊五重小塔」ですので、これは「がんごうじごくらくぼうごじゅうしょうとう」と読まれます。

ちょっと早口言葉みたいですが3回連続で言えたら拍手です。ファイッ


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「五重小塔」って?元興寺五重小塔の謎

「五重小塔」って何なのかな、と思われる方も多いかもしれません。

五重小塔とは、確かに五重塔なのですが、中に入れるような本物の五重塔ではなく、模型のようにたいへん小さくできているもののことを指します。

元興寺の五重小塔の場合、高さは5.5mで、人間から見れば決して小さいものではありませんが、しかし建物としては機能しない大きさをしています。

元興寺の他に、奈良・海龍王寺の五重小塔も国宝に指定されており有名ですが、こちらも高さは4.01mです。

しかし、小さいながらもこれらの五重小塔の内部は、建造物そのものの構造をきちんと持っています。大きく作れば、そのまま建物として利用することができる状態なのです。そのため、国宝にも「美術品として」ではなく、「建造物として」指定されています。

元興寺五重小塔は焼失した五重塔の模型……じゃなかった!

五重小塔は、その緻密な構造から、江戸時代1859年(安政6年)に焼失したと伝えられる元興寺の大きな五重塔(五重大塔)の模型だったのではないか、と言われてきました。五重大塔は、残された礎石などから高さが50~70mにもなる巨大な五重塔であったことが推測されています。古代、巨大建築物を作成する折には、その構造を確認するために、ひな形となる模型が作られたことはよくありました。したがって、元興寺の五重小塔についても、五重大塔の模型であったと当初は推測されました。

しかし、後日、元興寺から五重大塔の構造図らしきものが発見されると、これが五重小塔と全く違う構造であることがわかり、五重小塔が五重大塔の模型ではないらしいと結論づけられました。

具体的には、五重大塔と五重小塔とでは、全体に対する相輪の比率がことなり、また屋根幅、屋根の組物の意匠などにも違いが見られました。

元興寺五重小塔は仏舎利入れ!

元興寺に限らず、また五重塔に限らず、寺院の塔とはそもそも、仏舎利……つまり仏陀さまのお骨を納める、巨大な卒塔婆の役割を果たす建物です。

五重小塔の中には、スリランカから移された仏舎利が実際に入っていますが、この仏舎利が中に納められたのは1965年(昭和40年)のことで、そう古いものではありません。

五重小塔は元興寺の「西の塔」だった?

寺院の塔は、奈良時代には東西に置かれることが多くありました(双塔伽藍)。當麻寺、薬師寺、興福寺にも、二塔を持つ伽藍構造が今でも残されています。

したがって、元興寺五重小塔の場合、五重大塔の模型ではないということがわかった後、元興寺の古代伽藍の中で東側に位置していた五重大塔に対応する、西側の塔として、本堂内、あるいは「小塔院」という名前の建物の中に据え置かれていたのではないかと推定されています。

しかし「小塔院」という建物は、平安時代の文献に残されているものの現在は既に無く、この文献には「小塔院には百万塔が納められていた」と記されているため、五重小塔が真実、小塔院に納められていたのかどうかはいまだにわからないのです。

 

元興寺五重小塔の歴史

奈良時代 五重小塔が作成される

平安時代、鎌倉時代に修復

1683年(天和3年) 修復

1898年)明治31年) 修復

1907年(明治40年) 奈良国立博物館へ寄託される

1952年(昭和27年) 修復

1965年(昭和40年) 元興寺で収蔵庫が完成し、奈良国立博物館から五重小塔が戻される。この時スリランカから取り寄せた仏舎利が中に入れられる

1967~68年(昭和42~43年) 修復

五重小塔は何度か修復されていますが、最後の修復でほぼ当初の姿を取り戻したと言われています。

元興寺五重小塔の場所

五重小塔は、伽藍の中の「法輪館」に収蔵されています。 

法輪館はいわゆる収蔵庫になっており、元興寺の宝物が安置されているほか、奥行きが広く取られており歴史研究所にもなっています。

無料で中に入ることができ、研究所も含めて拝見することができますので、元興寺へ訪れた際には本堂から足を伸ばしてみましょう。

元興寺 お問い合わせ先

  • 住所:奈良県奈良市中院町11番地
  • TEL:0742-23-1377

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